晴れの街、南カリフォルニアに潜む曇天の季節
南カリフォルニアのイメージとそのギャップ
南カリフォルニアといえば、常に晴れ渡る青空と温暖な気候で知られる場所。しかし、意外にも毎年5月から6月にかけては、「May Gray(どんより5月)」や「June Gloom(曇天の6月)」と呼ばれる曇り空が続くのです。旅行者にとっては少し意外かもしれませんが、これは南カリフォルニアの春から初夏の風物詩となっています。
曇天の原因
この曇り空の原因は、太平洋沿岸に特有の「海洋層(marine layer)」と呼ばれる気象現象です。春の終わりから夏の初めにかけて、冷たい海の上に暖かく湿った空気が流れ込むことで、空気の層が逆転し、低い位置に雲や霧が発生しやすくなります。
たとえば、冷蔵庫で冷やしたコップを外に出すと、空気中の湿気がコップの表面に付き、曇るのと似ています。
こうしてできた低い雲が海から陸に押し寄せ、特に朝から昼過ぎにかけて空を覆います。晴れ間が見えるのは午後遅くで、日によっては夕方まで続くこともあります。
呼び名の由来
これらの呼び名は、各月の名前と天候を組み合わせたユーモラスな造語で、リズム感のある言葉遊びとして地元の人々に親しまれています。「May Gray(メイ・グレー)」や「June Gloom(ジューン・グルーム)(*)」に続き、7月には「No-Sky July(空なしの7月)」、8月には「Fogust(霧の8月)」と呼ばれることもあります(“Fogust”は“Fog(霧)”と“August(8月)”を組み合わせた英語の造語です)。
(*)“Gloom”は「憂鬱」「陰鬱」といった意味で、似た音の“Groom(花婿)”とは異なりますのでご注意ください。
最後に
たとえば、昨日の天気もその典型で、朝から曇り空が続き、太陽がようやく姿を現したのは夕方6時を過ぎてからでした。
「いつも晴れている」と思われがちなこの場所にも、こんなどんよりとした季節がある――それもまた、南カリフォルニアの魅力の一つと言えるでしょう。